偽造するカーテン

男はホームセンターでカーテンを選んでいた。「何かお探しですか」店員が声をかけてくる。「ええ、引っ越したので」高価いものを勧められるのではと男はしかめ面になる。男は流されやすかった。進学も就職も恋人も周りの言いなりだった。男はそんな人生を変えたいと思い始めている。手始めに引越した。会社は転職。恋人に不満はないが、浮気ぐらいしたい。予想どおり店員は高価なカーテンを勧めてきた。「お客様モテるでしょう？このカーテンは浮気のカモフラージュに使えますよ」「僕そんなにモテません」「嘘ばかり。来店された時から素敵な人って、ずーっと目が離せなかったわ」男はそのカーテンを買う。「このカーテン、室内の人影を形状記憶し外に見せられるんです。防犯用ですが浮気のアリバイに使う方も多いですよ」男の恋人は男の行動に不審を感じ、彼のキーケースから鍵を盗む。カーテンがどんな影を映そうと、部屋に入られてしまえば嘘はバレる……。